ポンジ・スキームを用いた詐欺ファンドに要注意!

投資詐欺に遭われた被害者の方は全世界に数えきれないほど存在します。これは周知の事実です。

しかし、騙す側の手法は意外とワンパターンだということは、意外と知られていません。当然、時代に合わせて内容は少しずつアップグレードされてはいますが、なんと90%近くの投資詐欺がポンジ・スキームという手法で行われているのです。

騙されたのは私たち市井の人間だけでなく、芸能界や政界にまで多岐に渡っています。

それほどまでに人の心を巧みに操り、お金をだまし取れてしまうやり口とはどのようなものなのでしょうか。ヘッジファンド投資で失敗しないためにも、必ず対処法を身に着けておかなければなりません。

「ヘッジファンド投資は富裕層のためのもの」と言われたのも今は昔。投資のハードルはどんどん下がりつつあり、今までヘッジファンドと縁がないと思われていた人でも少し頑張れば活用できるようになってきました。

にもかかわらず、ヘッジファンドの情報はいまだに世間一般にそこまで流布しておらず、戸惑っている方も多い。そこを突いた悪い人間が、ヘッジファンドの名前を騙った詐欺を行い、ヘッジファンド投資への理解がない人の虎の子の資産を奪っていくという事態に陥ってしまっているのです。

せっかく少し頑張ればヘッジファンドでさらに資産を伸ばせる時代になったのに、かえってそれが仇となってしまい、より「ヘッジファンドは怖いもの」という認識を植え付けてしまっています。

今回の記事では、投資詐欺の代名詞ともいえるポンジ・スキームについてお話をしていきます。ポンジ・スキーム以外にも細かい詐欺は存在しますが、まずはポンジ・スキームについて知識を抑えることで相当数の被害が減るはずです。しっかりと理解していきましょう。

投資詐欺の実態とはどのようなものなのでしょうか?

詐欺 投資 実態

ヘッジファンドの失敗とはすなわち、大切な資産を減らしてしまうことに他なりません。

もちろん、どんな敏腕投資家でも失敗するときは失敗します。投資なので必ず勝つということはありません。それは個人の投資スキルによるものなので、失敗を糧にして投資方法を見直すなり、試行錯誤による改善の余地は残されています。

しかし投資詐欺の被害に遭ってしまうと、そもそも投資のスタートラインにすら立つことができません。そこで躓いてしまってはどうすることもできないのです。

日本は先進国の中でも投資に対するリテラシーが低いと言われています。特に、身近な友人から紹介されると安心してしまってついつい詐欺にあってしまうという話をよく聞きますね。

ポンジ・スキームとはどのような詐欺でしょうか?

ポンジ・スキームは、1920年頃に実在した稀代の詐欺師であるチャールズ・ポンジ(Charles Ponzi)が名前の由来となっています。

仕組みを簡単に説明すると、「運用実態がないにも関わらず、投資家から募ったお金を募り嘘の配当を配る。それができなくなったりしたタイミングで集めたお金とともにトンズラする」というものです。

通常の投資では、以下のような流れをとります。

①出資者が運用会社にお金を投資する。
②運用会社は投資金を元に運用を行う。
③集まった投資金と運用によって増やしたお金を配当として投資者に還元する。

ヘッジファンドで儲かるかどうかは、【②運用会社は投資金を元に運用を行う。】で運用会社がどれほどの成績を収めるかどうかに起因します。成績が良ければ配当も良くなりますし、成績が悪ければ配当も悪くなる。これが普通の投資の流れです。

一方で投資ポンジスキームの場合はどうでしょうか。

①出資者が運用会社にお金を投資する。(本当は実態がない)
②運用会社は投資金を元に運用を行わない。
③集まった投資金配当として投資者に還元する。

ポンジ・スキームでは、集めたお金を運用することなくそのまま配当にあてています。

どうしてこれで詐欺が成り立つのでしょうか?その仕組みをお教えしましょう。

例えば、あなたが以下ような勧誘を受けたとします。

「ヘッジファンドに投資すれば月利5%という高配当を毎月受け取ることができます。最低投資額は1口100万円からです。1年間は引き出すことができませんが、元本は保証されます。」

このヘッジファンドに毎月10人ずつ100万円の出資を行うと仮定します。

 

出資者数 投資額 配当金 詐欺師に残るお金
1か月 10 1000万円 50万円 950万円
2か月 10 1000万円 100万円 900万円
3か月 10 1000万円 150万円 850万円
4か月 10 1000万円 200万円 800万円
5か月 10 1000万円 250万円 750万円
6か月 10 1000万円 300万円 700万円
7か月 10 1000万円 350万円 650万円
8か月 10 1000万円 400万円 600万円
9か月 10 1000万円 450万円 550万円
10か月 10 1000万円 500万円 500万円
1Ⅰか月 10 1000万円 550万円 450万円
12か月 10 1000万円 600万円 400万円
トータル 120 1億2000万円 3900万円 8100万円

 

出資金は投資金をまったく運用することなく、そっくりそのまま配当金と称して毎月5%ずつ還元していきます。

すると、毎月たった10人の出資者を集めるだけで、詐欺師の手元には8100万円ものお金が残るのです。

このペースでいけば、1年8か月目には投資額と配当に回すお金が同じ1000万円になり、1年9か月目には配当に回すお金が無くなってしまいます。そこで、何かと理由をつけてお金を持って逃げることでまんまと儲けてしまうのがポンジスキームの原理となります。

ポンジスキームの巧妙なところは、1年たった時点での引き出しにしっかりと対応してくれるところが多いということです。つまり、出資者側には投資額100万円+(5万円×12か月)=160万円が返ってきます。出資者は「すごい、本当に儲かった」と勘違いしますよね。そこて、「本当に儲かるヘッジファンドがあると友人知人に薦めてください」と悪魔の囁きです。

つまり、新しい出資者を募るためのエサとしてわざと儲けさせるというわけです。

このやり口があまりに巧妙なため、ほとんどの人が詐欺だと気づくことはありません。

もちろんそこで早抜けして儲かった人は万々歳ですが、儲かるのであれば出戻ってその後も続けたくなるのが人の性です。そうやって人を集めるだけ集めて、たくさんの人からお金をだまし取っていくのです。

ポンジ・スキーム被害の実例

詐欺 実例

このような手法は決して珍しいものではありません。むしろ、ちゃんとした紹介業ではなく知人友人からの紹介という場合は、まずポンジ・スキームを疑った方が良いほどだと言えるでしょう。

直近の被害実例としては、2019年2月にテキシアジャパンを巡る事件が発生し、関係者が詐欺容疑で逮捕されました。1.3万人から約460億円もの出資額を集めていたというから驚きです。

また、世界最大のポンジ・スキーム事件と呼ばれる、バーナード・マドフ事件も教訓として覚えておきましょう。25年にわたる長期間継続し、被害総額は約6兆円とも言われています。

被害者は私たちのような市井の人間だけでなく、映画監督のスピルバーグなどの著名人や、日本の野村證券などの企業も騙されたほど。

 

見分けるのは相当難しいですが、「毎月の配当は固定で必ずもらえる」「元本保証される」など、本来ありえないような甘い話をされたら絶対に乗らないようにすることです。その判断を行うためにも、まずはしっかりとした金融リテラシーを身に着けることが大切なことなのです。